無地Tシャツに自作でリメイクして二次販売しても大丈夫?
現在ではインターネットが急速に発達し、様々なサービスやアプリがありふれてきた世の中になってきました。
個人でも誰でも簡単に、インターネットショップを持つことが出来るようになり、継続販売をしなくても1枚だけ、1点物だけなどをオークションなどを利用して副業をされている方も多いと思います。
最近では、メルカリやYahooオークション、Yahooショッピング、ミンネなど個人でも参入しやすくなり、趣味で製作した雑貨や洋服、グッズを販売している方も見受けられます。
それほどインターネットでの販売が身近で簡単になったのだと言えるのでしょう。
無地市場でも、良くお問合せを頂く内容で「無地Tシャツを購入しリメイクして販売しても良いですか」や「無地Tシャツを仕入れて2次販売しても良いですか」などのご質問を頂きます。
結果的には、2次販売もリメイクもご自由にされて構いませんし、どんどん趣味を活かして、インターネット販売の楽しさを感じ取っていただければ嬉しい限りです。
その上で注意していただきたい事や、気を付けてほしいことなどを記事にしましたので、これから加工して販売される方にこちらの内容を確認していただければ幸いです。
2018年4月19日
執筆者
ビジネス法務エキスパート(法務資格者) 関 将司
1. 無地Tシャツやエコバッグを仕入れてそのまま2次販売の場合
無地市場から仕入れたTシャツなどをオークションやメルカリを通し、リメイクや文字入れなどの加工をせずにそのまま販売(転売)する場合は、特段気を付けなければいけないことはございません。
ただし、一度着用したものを継続して販売していく場合(古着)は古物商の許可が必要です。
個人間販売でオークションなどを利用し1度きりであれば問題はないです。古物商の許可が必要な場合は、「古物」を生業として、利益を出そうと考えている方や継続して販売していこうと考えている方であれば、古物商の許可を得る必要があります。また、オークションなどで古着を仕入れて継続的に転売をしていこうと考えている場合も古物商許可が必要になります。
古物商の許可は警察(公安委員会)が窓口となりますので、今後そのような商売を考えている方は、お近くの警察署でご相談されることをお勧めいたします。
2. タグを付け替えて販売する場合
特に大きな加工はしないけれども、自分で考えたタグに付け替えてオリジナルのTシャツとして販売しようと考えている場合は注意が必要です。
無地Tシャツなどには、ブランドタグやメーカーのタグのほか、製造者の氏名や商号、商標が付いておりますが、そのタグを切り取り、自分で考えたオリジナルタグを取り付け、自分の氏名を表示し製造者として表示した場合(つまりタグを付け替えて、自身が製造業者であると誤認させるような氏名等の表示をした者)は、(もともとは製造者がA社でしたが)そのアイテムはBさんも製造者ということになります。(厳密に言いますと、製造物に製造業者として自己の名称を表示した者=つまりタグの付け替えなどした場合などは、連帯して製造物責任を負うこととなります。)
例えば、その商品を購入した方がその商品が原因でケガをして入院したというように、製品の欠陥が原因で損害が発生した場合、その製品の生産者が責任を負わなければなりません。
その責任のことを製造物責任法といいます。
つまり、もともとはA社の製品が理由でケガをしましたが、タグを付け替えたBさんも製造者となるため、ケガの責任や保証をしなくてはいけないということになります。
その為、自身が製造者となることが考えられる場合は、製造物責任法(PL法)のことを考え、保険などに加入しておく必要があるかもしれません。
しかしながら、より厳密で言ってしまうと長くなってしまいますが、製造物責任は製造物の欠陥により、その生命、身体又は財産が侵害された場合となるため、タグの付け替えだけであれば、通常の使用でケガをするなどはほとんど考えられにくいと思います。
とは言え、無地Tシャツを加工した際に、折れた針が入っておりケガをした、針が目に刺さって失明したなど、検針漏れには気を付けたいところです。
3. 無地Tシャツに文字などを入れてリメイクして販売する場合
無地Tシャツを染めたり、アイロンプリントなどを施し1点もののハンドメイド作品として販売する場合ですが、先ほどのタグの付け替えとは逆に、「自作で加工したものをそのままのタグで販売しても良いか?」というお問合せも多くいただきます。
オリジナルプリント加工したものやアイロンプリントなどを使用し自作で無地Tシャツを加工した場合でも、タグはそのままで販売することが可能です。(無地市場で販売しているアイテムに限ってはすべてのアイテムで大丈夫です。)
しかし、稀に制約のあるブランドもありますので、気を付けていただければと思います。主にハイブランドといわれるものでしょうか。1枚数万円の高級無地Tシャツなどが当てはまります。(そもそも数万円するのであれば加工しないでそのまま販売したほうが良いと思いますが)
また、自作で加工する場合でも、ブランド商標の真似をしたり、ロゴを勝手に使用してはいけません。
最近では、学生の文化祭のオリジナルTシャツなどでも、キャラクターを使用したりしているのを見受けられますが、法的にアウトです。
個人的に楽しむものであっても、仮にそのプリントを受けた業者は商標を侵害したことになりますので、間違っても勝手に商標やロゴを使用してはいけません。
自分自身のオリジナリティを存分に発揮して、どこの真似もしないものを生み出しましょう。
4. パロディTシャツはどうでしょうか
以前、商標登録しているロゴやマークのパロディTシャツを作りたいというお問合せがありました。
(私が小学生だった時に、同級生のY君は、adidasならぬazidasという文字とadidas特有の三つ葉のマークがアジの切り身になっているトレーナーを着ていたことがありました。私はY君にこのトレーナーはどこで買ったのかと聞いたら、お母さんが本当にadidasと間違えて購入してきたといっていました。)
という回想はさておき、厳密に言ってしまえば、パロディ商品は本物と一見して見分けがつきますので、自他商品識別機能は害していないとも言えますが、そもそも商標には「出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告機能」があるといわれています。つまり、パロディ商品の場合は元の商品の品質保証機能を侵害しているとも言えるため、商標権の侵害となる可能性があるため、私は限りなくグレーに近いアウトであると思います。
しかしながら、楽天市場などの商品でも見受けられるように、パロディTシャツは沢山販売されており、暗黙の了解になりつつあります。
あくまで、パロディTシャツは暗黙の了解の為、先ほども申し上げた通り、商標権の侵害になりうる可能性があるため、パロディTシャツの販売もやめておいたほうが良いかと思います。
(※ニュースでも取り上げられましたが、パロディTシャツ販売していたお店が摘発された事実があります。)
仮に、自分が一生懸命考えたデザインロゴを商標登録し、無地Tシャツにそのロゴをプリントして販売したとします。
なんと、そのTシャツは空前の大ヒット!
一生懸命デザインを考えたものが実ったのです。
しかし、後日自分が考えたデザインに似ている(似ているというよりパロディ化されている)Tシャツが販売されていました。
その時、あなたはどう思うでしょうか。
・「パロディ化されるほど人気が出たって証拠か。良かったよかった。」
・「せっかく築き上げたブランドの地位を落とし込むようなパロディ作品め。何とかして販売を止めたい。」
どのように思うのでしょうか。
逮捕されなかったとしても、訴えられなかったっとしても、私はパロディTシャツをお勧めしません。
やはり自分でデザインを考えて創り出すことが一番だと思います。
5. まとめ
如何でしたでしょうか。メルカリやオークションが人気の昨今、誰でも簡単に要らないものを処分できたり、副業で稼いだりすることが出来るようになりました。
無地Tシャツのブランドの中でも加工して販売してよいもの、ダメなものもありますし、製造物責任法や特商法、商標法など守らなくてはいけない法律もあります。
いつの間にか誰かの権利を侵害してしまっていたり、ある日突然訴えられたということにも繋がるかもしれません。
しかし、冒頭でも述べましたように、私は2次加工や、ハンドメイドやリメイクをして販売することは大賛成です。
作り手の想いが詰まったハンドメイド作品や一点ものの作品には愛情が感じられますし、他とは違った温かみも感じられます。
私が、民間の法律の資格を取得したのも訳があり、皆様からお問合せいただく内容に対して、間違ったことを伝えてはいけないし、正確にお答えできるように、そして皆様が安心して2次販売できるように、無地市場の商品は安心なんだと感じていただけるように、法律の資格を取得しました。(もちろん、企業を守るためでもありますが。)
少しでも皆様のお問合せに対し正確にお答えできるよう、今後も勉学に励み、リメイクやプリントしても問題ないアイテムや安心して選んでいただけるTシャツなどを探してまいりたいと思います。